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ミステリの祭典

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罪なき者を捜せ

作家 ロイ・ヴィカーズ
出版日1967年01月
平均点6.00点
書評数1人

No.1 6点 kanamori
(2014/10/04 23:29登録)
”迷宮課”の捜査員が登場しないノン・シリーズの5編が収められた中短編集。倒叙形式となっているものは1編だけですが、事件関係者の心理状況を細心かつ重厚に描く作風は”迷宮課”シリーズとあまり変わらない。フーダニットにしろ倒叙型であっても、いずれも犯人のささいな失策や偶然の手掛かりで決着するところも”迷宮課”と共通している。

冒頭の「二重像」は、EQMM短編コンテストの第一席入選作品。ヴィカーズの代表作のひとつで、クイーン編のアンソロジー「黄金の13/現代編」にも収録されている。いわゆる”ダブル”ネタということで、この数年前に出版されたヘレン・マクロイ某作を連想させるものの、ネタの使い方はある意味真逆になっている。予想できる真相ながら緊張感を最後まで途切れさせないところはさすが。
表題作の中編「罪なき者を捜せ」は、容疑者三人の中から無実の一人を特定させるというユニークな設定は買うものの、ややアイデア倒れな感じを受ける。
「女神の台座」は、編中唯一の倒叙ミステリで、プロット的には男女の三角関係に起因する殺人ということで新味がないですが、人間ドラマの部分では最も印象に残った作品。やはりヴィカーズは倒叙形式があっているのかもしれない。

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