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ミステリの祭典

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あの手この手

作家 ヘンリー・セシル
出版日1996年03月
平均点5.00点
書評数1人

No.1 5点 kanamori
(2014/06/30 20:43登録)
ふた組の詐欺師夫婦の行状記といった体裁の連作長編。
第1章「いやな男」は、ふたりの男が裕福で牧歌的な村に住みつき、ある策略を使って村の名士たちから大金をせしめようとする。法律の悪用という作者お得意のパターンですが面白いかというと、そうでもない。
第2章「誘惑事件」は、2組の夫婦共同で不倫スキャンダルを捏造し、意外な標的から大金を得る話。最終的に関係者だれもが損をしていないという状況になるのがミソ、かな。
第3章「グローピスト」は、貧乏画家たちを集めての人気投票・賭け絵という詐欺。これはシステムがいまいち分かりずらい。
ここまではクライム小説風ですが、夫婦の掛け合いがユーモラスながら、標的が個人ではなく不特定多数の人物ということもあって、コンゲーム的な面白さがそれほど感じられない。
最終章では、裕福になった4人の男女が意外な行為に走る。悪人を悪人のまま終わらせないあたりは、ヘンリイ・セシルらしいかもしれない。

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