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ミステリの祭典

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うなぎ鬼

作家 高田侑
出版日2005年06月
平均点5.00点
書評数1人

No.1 5点 メルカトル
(2014/05/31 23:33登録)
全然そそらないタイトルとイケてない表紙、これは誰しもが敬遠したくなる小説と言える。しかも冒頭からなんとなくシャキッとしない感じの筆運びで、面白いのかどうなのかも判然としない。ホラーなのにちっとも怖くない、その代わり終始不気味な雰囲気は漂っているという、なんとも言えない作品である。
主人公の勝は少なくない借金を抱えてところを、やくざまがいの商売をしている千脇に拾われる。仕事の内容は主に借金の取り立てで、その巨体を生かしてそれなりの成績を上げていた。そんな時、別の仕事も任されるようになる。同僚の富田と共に社長の弟が経営するウナギの養殖場に厳重に梱包された、重さ50から60㎏ほどの品物を運び込むというものであった。東京の下町の入り組んだ場所にある黒牟という土地には、怪しい噂が色々立っており、勝たちはその渦に巻き込まれることになる。
都市伝説を用いて終始読者に不信感、或いは疑惑を持たせ、どうにもすわりの悪い気分を抱かせる文章は、ある意味で作者の思惑通りであるのかもしれない。果たして多くの読者が想像するような忌まわしい現実が目の前に現出するのか、そしてあることからとんでもない災厄に見舞われる主人公の運命やいかに、といったところか。
終盤はなかなかの緊迫感で、本領を発揮している感じだし、エピローグも気が利いていて余韻を残す、らしい締めくくりでいいんじゃないだろうか。

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