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ミステリの祭典

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コスプレ幽霊 紅蓮女
しより&愛子シリーズ 番外編

作家 上甲宣之
出版日2006年05月
平均点4.00点
書評数1人

No.1 4点 メルカトル
(2014/05/21 22:29登録)
冴えない小学校の女教師、辺倉史代はネットで紅蓮女の噂を流し、自らコスプレや特殊メイクを施して紅蓮女として夜な夜な怪奇スポットを徘徊する。それが彼女の生き甲斐であり、アイデンティティでもある。人を傷つけない、殺さないというのが信条で、もっぱら人を脅すことに喜びを見出しているのだ。というのも、彼女は友達も恋人もいない孤独な人生を送っており、そんな度を越した趣味に悦楽を感じているわけである。そして、各スポットで様々な都市伝説上の怪人どもと対決するという、連作短編集である。
まあアイディアは面白いとは思うのだが、いかんせん中途半端な感が否めない。サスペンスとしてもホラーとしても、アクションとしても、どうにも煮え切らないもどかしさを覚えるのである。主人公の史代の孤独な心情はなんとなく伝わっては来るものの、それもあまりストレートに響いてこない。
トータルすれば、一種のエンターテインメント作品なのだろうが、私には爽快感や満足感が得られず、半端な読後感が残るのみであった。Amazonでの評価はかなり高いのだが、私の評価がそれより低いのは私に読解力がないのか、感受性がすり減ってしまっているせいなのかもしれない。或いは、ミステリの読みすぎか。
蛇足だが、史代は魚座である。近年の魚座の女性有名人は篠田麻里子、松井珠理奈ら女傑のイメージが強いが、内面はとてもナイーブで心根の優しい女性が多いようである。

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