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ミステリの祭典

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18禁日記

作家 二宮敦人
出版日2013年08月
平均点6.00点
書評数1人

No.1 6点 メルカトル
(2014/05/18 22:35登録)
ブログや遺書を含む、15の日記から構成されているホラー短編集?と言っていいのだろうか。日記の中身は蚊に刺されやすい体質の男、初体験を待ちわびる少女、絶対音感に取り付かれた女、あらゆる生物の眼球に異常な興味を持つ子供など、どれもこれもある事柄に執着するあまり、悲劇的な結末を迎えてしまう、人間の悲しいさがを描いたものである。
形式が日記だけに、それ程心理描写が深く抉られているわけではないが、着実に人間が狂気に取り付かれていく過程を見せつけられる形になっており、読者自身もそれぞれの擬似体験を強制的にさせられるような静かな圧力を掛けられる。まさにこれまで味わったことのないような奇妙な魅力を持った小説であり、ある意味奇書と考えてもらっても差し支えないと思う。
それぞれのオチは驚くほどのものではないが、全体としてはなかなか良く考えられた着地が待ち受けている。まあそれ以外に落としどころがないとも言えるが。
取り敢えず、私としては十分楽しめたし、読み返すのも楽でいいのではないかと思う。いわゆる「コロンブスの卵」的な作品とも言えるだろう。

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