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ミステリの祭典

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波形の声

作家 長岡弘樹
出版日2014年02月
平均点4.50点
書評数2人

No.2 5点 アイス・コーヒー
(2014/06/14 18:08登録)
ノンシリーズ短編集。どれもラストに皮肉を持ってくる、少しブラックな内容だった。
ただ全体的に面白みがなく、これといって印象に残った作品もなかった。よく出来ているとは思うのだが…。
表題作「波形の声」カニの前歩きに始まり、様々な珍事件が連発するが…このトリックは実現できるのだろうか?
「宿敵」はどちらが若さを保てるか競い合う二人の高齢者の話。真相は確かに意外だったが、それ以上のものは感じなかった。
「わけありの街」こちらは真相が早いうちに分かってしまうが、被害者遺族の悲しい現実に心を打たれた。
「暗闇の蚊」ブラックユーモアと日常の謎の融合だが、もう一工夫欲しかった。次の「黒白の暦」もそうだが、ストーリーにひねりが感じられない。
「準備室」冒頭の自殺はあっさりスルーされ、淡々と進んでいく物語に違和感を感じた。
「ハガニアの霧」幻の名画を巡る騒動。スケールは大きいが、従来の日常の謎と何ら変わらない。
人物の描き方や、ストーリーの持って行き方は器用だが全体的に物足りない印象を受けた。「教場」のような、独特の雰囲気・設定を持っている作品の方が私的には面白く感じる。

No.1 4点 まさむね
(2014/05/29 21:03登録)
 7編からなる短編集。
 登場人物の心情の動きと終盤の反転が読みどころ,のはず。この点は氏の出世作「傍聞き」と同じ方向性なのですが,比べれば相当に小粒だし,こじつけ感も気になります。
 横山秀夫氏の作風ともダブるのですが,本作品のみで比較するとすれば差は明確。読みやすい作品ではあるのですが…。辛口かもしれませんが,この点数で。

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