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ミステリの祭典

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パリ症候群
愛と殺人のレシピ

作家 岸田るり子
出版日2014年06月
平均点6.00点
書評数1人

No.1 6点
(2017/02/20 21:58登録)
フランスを舞台にした5編を収めた短編集で、『砂の住人1―クロテロワ―』と『砂の住人2―依頼人―』とは、当然密接な関係があります。その2編と冒頭の表題作はシンプルな話で、特に表題作はミステリと言えるかどうか疑問なほどです。パリで自殺したいとこの動機は何だったのかということで、実に地味なのです。この表題作と『砂の住人2』は1冊の本にまとめるにあたっての書き下ろしで、『砂の住人2』は1の補完であるとともに、表題作のチョイ役を主役にした作品でもあります。
後の『すべては二人のために』と『青い絹の人形』は逆に、どちらも多少強引かなと思える真相が一応明かされた後に、さらにシニカルなひねりを加えています。どちらかというと、最初の3作のシンプルさの方が、個人的には好みではあります。
ちなみに、表題作で言及される日本語情報誌 "Ovni" とは、Objet Volant(英語のFlying) Non Identifié の略、つまり未確認飛行物体のことです。

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