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ミステリの祭典

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亡命者
ホセ・ダ・シルヴァ警部

作家 ロバート・L・フィッシュ
出版日1963年01月
平均点5.00点
書評数1人

No.1 5点 kanamori
(2014/06/18 21:17登録)
戦時中ナチス収容所で残虐のかぎりをつくしたエリック・レスラー大佐は、亡命先のブラジルでナチス復建を目指す組織の首謀者となっていた。一方、ハンス・ブッシュと名乗る米国の老人が、ある計画を持って組織に接触を図ろうとするのだが-------。

「シュロック・ホームズ」や殺人同盟シリーズなどのパロディ&ユーモア・ミステリの名手、フィッシュがMWA新人賞を受賞したデビュー長編。ですが、本書は復讐をテーマにしたシリアスな謀略スリラーになっていて、一般に知られている作者の軽妙な作風からは想像できないテイストに驚きました。
リオ・デ・ジャネイロ郊外の観光地である巨大キリスト像で有名なコルドバードの丘や、パン・デ・アスカール山のロープウェイなど、舞台背景の描写は緻密で興味深いものの、物語の展開が散漫であまりサスペンスを感じさせないのが残念。
ブラジルとナチス復興計画といえば、ヒトラーのクローンというトンデモ・ネタを扱ったアイラ・レヴィンの某作を思い浮かべますが、それと比べると話の展開がジミすぎる。シリーズ主人公であるはずのダ・シルヴァ警部の役割も中途半端なものになっている。

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