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ミステリの祭典

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テンペスタ 天然がぶり寄り娘と正義の七日間
改題/『テンペスタ 最後の七日間』

作家 深水黎一郎
出版日2014年04月
平均点6.00点
書評数1人

No.1 6点 kanamori
(2014/05/11 23:00登録)
東京で美術の非常勤講師をつとめる賢一は、田舎に住む弟夫婦から一人娘ミドリを一週間預かってほしいと頼まれる。しぶしぶ引き受けた賢一だったが、ミドリは天衣無縫の”嵐を呼ぶ美少女”で-------。

作者のこだわりである言語と芸術(本書は美術)の小ネタを入れながら、東京見物などのふたりの共同生活を通して、終盤までは、独身の30代男が生意気で毒舌全開の正義感の強い小学生に振り回される話で終始する。
物語の背景には連続児童誘拐事件というものもあるが大したことなく、ミステリの要素はほとんどないと言っていいだろう。
かといって「言霊たちの夜」のような爆笑狙いのユーモアに徹した小説とも言えず、正直なところ途中で飽きて少々ダレてしまった。が、最後の急展開からの流れで物語の様相が一気に変わり、結末はベタではあるものの、序盤の展開からは予想できない感動を得られた。
ルネサンス期ヴェネチアの絵画「テンペスタ」に対するミドリの解釈などは暗示的なものを感じる。

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