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ミステリの祭典

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僕はお父さんを訴えます

作家 友井羊
出版日2012年03月
平均点7.00点
書評数1人

No.1 7点 メルカトル
(2014/04/28 22:28登録)
タイトルの通り、13歳の少年が民事訴訟を父親相手に起こす物語。訴えの理由は愛犬を殴り殺されたというもの。子供に何ができるのかと、疑問に思っている方も多いだろうが、周りの大人たちの助けを借りて、立派に書類作成から出廷にいたるまでをこなしている。本作はなんとなく頼りないタイトルとは裏腹に、しっかりとした本格法廷ミステリである。
主人公の光一はごく普通の中学生で、ある日クラスメートの沙紗に愛犬のリクを瀕死の状態で見つけたことを知らされる。急いで駆け付け病院に連れて行くが、犬はやがて死んでしまう。二人は協力してリクを殺した犯人を突き止めようと、探偵の真似事を始め、行き当たったのが光一の実の父親だった・・・という出だしである。
これだけでは、いかにも単純なストーリーに思えるが、実は序盤からは想像もつかない、作者のたくらみが隠されているのである。
やや地味な作風ではあるが、実に面白い。はっきり言ってお薦めだ。まあこんなこと書いても、誰も読まないんだろうけど、読んで後悔することはおそらくないだろう。
登場人物もとてもよく描き込まれていて、キャラが立っているので、飽きるということがまずない。だから安心して読み進められるのも美点の一つだと思う。前述の二人に加え、光一が裁判を始めるに当たっていろいろ相談に乗ってくれる司法浪人の敦や、離婚裁判中の義理の母真季など、個性的な面々が顔を揃えて、作中で生き生きと躍動している。

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