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ミステリの祭典

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エクステンド
京都・花街の女刑事 片岡真子/改題『時限』

作家 鏑木蓮
出版日2008年12月
平均点7.00点
書評数1人

No.1 7点
(2014/03/20 17:12登録)
なにげなく手にとった本だったが、アタリだった。
作者の名前すら知らなかった。第52回乱歩賞受賞作家らしい。『東京ダモイ』で受賞とのこと。
本書は、京都が舞台の警察モノ。主人公は京都弁を操る女性新米刑事と、キャリア警察官。

(以下、ややネタバレ)
二転三転したあと最後に見せた容疑者起訴のための決定打は、警察がぎりぎりのところで掴んだ証拠だった。これが強烈だった。
文庫裏の解説には、カウントダウン・サスペンスとある。警察モノで時限が絡むとしたら、たぶんアレしかないと思っていたが、それは中ほどでほとんどわかってしまう。しかも犯人は中盤で判明したようなもので、あとは証拠を時間内にどのように見つけるか、そこがポイントとなる。
倒叙モノとあまり変わらない作りだ。最後の決定打はコロンボが仕掛ける罠のようなもので、本作では罠に匹敵する決め手が、打つ手なしとなったときに天の助けのごとく表れる。
偶然の産物ではあるが、タイムリミットの流れとあいまって抜群の効果があった。伏線も利いている。
ただ、最初に死んだ女性がやや疎略な扱われ方をしているのは気になる。これに関し最後の最後にオチがつけてあるが、わざとらしく感じた。
とはいえ十分に楽しませてくれた。

なお、もともとは『エクステンド』というタイトルだそうですが、これをたぶん出版社が改題したようです。タイムリミット物ということを強調したかったのでしょう。

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