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ミステリの祭典

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ゲルニカに死す

作家 佐伯泰英
出版日1996年11月
平均点5.00点
書評数1人

No.1 5点
(2014/03/14 15:09登録)
スペインが舞台の、ピカソの『ゲルニカ』絡みのミステリー。
ゲルニカの日本公開の企画を恩師・宮岡から示唆される主人公の土岐。彼からの計画を受けてスペインへ飛んだテレビ局の社員は、現地で喉を掻き切られて殺害される。その殺害手段はスペイン内戦のころより暗躍する集団「三角帽子」の手口に似ていた。

事件は果たして、ゲルニカの製作秘話に絡むのか、スペインの内戦史との関係があるのか、それとも・・・。
真相は壮大。予想し得るものかもしれないが、中途が拡散しすぎで辿りつきにくい。ラストに明かされるもう一つの真実に、むしろ驚かされた。
ゲルニカ空襲の描写はごくわずかだがあった。けっこうなまなましい。被爆、被空襲国の日本との類似性を背景として捉えたところは、うまいと思った。
ピカソに対する印象は、原田マハさんの『楽園のカンヴァス』に脇役として登場するピカソから受けるものとは、ずいぶんちがう。すごい時代を生き抜いた画家のようだ。

作者の佐伯泰英氏はいまや時代小説の人気ナンバーワン作家。そんな売れっ子作家もかつてはミステリー系の作品が売れず、出版社から時代小説か官能小説を書いてほしいと云われて、ミステリーを断念したという。それが大成功につながった。

あとで気付いたが、本作は400評目だった。

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