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ミステリの祭典

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無伴奏ソナタ

作家 オースン・スコット・カード
出版日1985年12月
平均点6.00点
書評数1人

No.1 6点 kanamori
(2014/03/26 18:45登録)
最初期のSF作品集。ハードSFっぽいものからホラー系、ファンタジー、寓話的なものまで、作風は意外と幅広いですが、レイ・ブラッドベリと同系統のダーク・ファンタジー的な作品が作者の本質のような気がします。また、いくつかの作品で身体の部分切断という残酷なシーンが出てくるが、不思議とラストは後味が悪いという感じは受けなかった。
印象に残ったのは次の3編。
「エンダーのゲーム」は、映画化もされた長編の原型となる作者のデビュー短編。異星人からの攻撃にそなえ、バトルスクールで摸擬戦闘ゲームを繰返す天才少年指揮官エンダーの成長を描く。編中で唯一ミステリ的なアプローチも可能で、ちょっとした驚きの真相が待っている。
「王の食肉」は、人肉を好む征服者の異星人の走狗となって、食肉を調達する”羊飼い”の運命を描く。結末はかなりエグい。
「無伴奏ソナタ」は、人里はなれ森に隔離された天才音楽家が、あるルールを破ったことで音楽を禁止され過酷な人生を辿る。監視社会という設定は「1984」「華氏451度」などの反ユートピア小説を思わせるが、なかなかの感動的なラストが印象に残る、これは名作と言っていいでしょう。

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