home

ミステリの祭典

login
女たちの復讐

作家 梶龍雄
出版日1986年02月
平均点5.00点
書評数1人

No.1 5点 kanamori
(2016/05/06 21:11登録)
目覚めると全裸で椅子に縛り付けられ、目の前には拳銃を構えた女が立っていた。探偵事務所の所長ながら、殺し屋という裏の顔を持つ真藤は、殺っていない殺人の犯人として、被害者の娘姉妹によって廃ビルの一室に監禁されたのだ。真藤は、冤罪を雪ぐべく必死に”安楽椅子探偵”を試みるが-------。

発端とラストは、ミッキー・スピレインを思わせる通俗ハードボイルドのような展開ですが、そのあいだの本筋の部分は、2年半前の熱海の別荘で発生した殺人を巡る意外と真っ当なフーダニット本格になっています。
また、探偵役が身動きが取れないため、やむなく安楽椅子探偵をやらざるをえないという第1部の設定もユニークで(第2部で探偵は現場に赴いていますが)、梶作品のなかではちょっとした異色作といえるでしょう。
作風は全体的にB級感は拭えない(表紙の煽情的なイラストが一層B級ミステリらしさに拍車をかけている)ものの、謎解き面では死体消失の”ホワイ”からの、アリバイ・トリックを暴く推理プロセスは盲点を突く形で光るものがありますし、終盤に突如出てくる暗号には、なんというか、作者のサービス精神を感じますw

1レコード表示中です 書評