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ミステリの祭典

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幽鬼伝

作家 都筑道夫
出版日1985年08月
平均点6.00点
書評数1人

No.1 6点 kanamori
(2014/03/08 18:01登録)
捕物帳スタイルの連作伝奇時代小説。岡っ引き、もと同心の隠居老人、霊感をもつ盲目の少女という主人公格の3人が、天草四郎の末裔と名乗る妖術師が仕掛ける様々な怪異事件と対峙する-------。

各編とも、当時の江戸風俗・情景と季節感にあふれ、江戸情緒に浸れる描写は「なめくじ長屋捕物さわぎ」同様で、このあたりは作者の真骨頂といえます。
首にかけた鉄製の数珠を武器とする岡っ引き”念仏の弥八”が事件を隠居所に持ち込み、もと同心の稲生外記と同居の妾・涙(るい)が、頭脳と霊感予知力で手助けをするのがフォーマットで、地蔵の頭の代わりの生首や、密室状況の風呂場の惨殺死体などの発端の怪異や不可能現象も「なめくじ長屋」シリーズを思わせる部分があるのですが、なにせ本書は”伝奇小説”、合理的な解釈は期待できませんw 最終話では、死体を操る妖術が乱舞するモンスター・ホラーの様相を呈します。
謎解きの面白さはないですが、伝奇時代小説の異色作として楽しめました。

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