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ミステリの祭典

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京極夏彦の謎
『京極ワールド』研究会

作家 事典・ガイド
出版日1997年07月
平均点4.00点
書評数1人

No.1 4点 メルカトル
(2014/02/12 22:41登録)
再読です。
中禅寺秋彦 「覚醒者の憂鬱」、関口巽 「夢幻の淵を彷徨う」、木場修太郎 「美学と現実の背理」、榎木津礼次郎(まま) 「哄笑する神」 といった百鬼夜行シリーズの主なキャストは各章に分けて分析されている。「」内はそれぞれのキャラのキャッチコピー的なものらしい。本書は『姑獲鳥の夏』から『絡新婦の理』までの各登場人物を解析することにより、京極夏彦という作家のあり様を探ろうという目論見のもとに著されたガイドブックのようである。
だが、内容は各作品からそれぞれの特徴が描写されている部分を抜粋し、それを元にごく表層的な解析を試みているに過ぎない。だから、京極作品の本質に迫ろうとかの、いわゆる論説とは事を異にしているので注意が必要である。
例えば、中禅寺秋彦の場合、猫が欠伸をしただけで目を覚ます眠りの浅い男、とか、「京極堂」の屋号は妻の千鶴子の実家が営む和菓子屋から拝借した、など、要するにファンなら誰もが知っている豆知識の復習のようなものなのだ。
京極作品を広く浅く知りたい、もう一度その京極ワールドに浸りたいという人向けのガイドである。ただし、目から鱗が落ちるごとき謎解きは出てこないので、その辺りはご承知置きいただきたい。
蛇足だが冒頭に既述したように、榎木津の名前を「礼次郎」と一貫して誤認しているようなので、せめて出版社で訂正すべきだったと思う。まあその程度の書籍だということではあるが。

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