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ミステリの祭典

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京極夏彦読本 超絶ミステリの世界
野崎六助

作家 事典・ガイド
出版日1998年12月
平均点5.00点
書評数1人

No.1 5点 メルカトル
(2014/02/03 22:28登録)
再読です。
『姑獲鳥の夏』から『塗仏の宴』までの全7作品を、様々な角度からああでもないこうでもないと検証し、論説をぶちかましている。
非常に鋭く的を射た論評を披露しているところもあれば、やや首を傾げたくなるような部分もあるにはある。が、全体的には相当深く掘り下げられており、仮説の上に仮説を塗り重ねたような面もなくはないが、個人的にはなるほどと感心させられるガイドブックに仕上がっていると思う。
特に「京極堂はノイローゼ状態の文豪、関口は自閉症の猿、榎木津はギリシャ彫刻の美貌・・・」などと断じている点。
「『館シリーズ』は『京極堂シリーズ』に引き継がれていった」といった大胆な仮説。
「京極夏彦は自らの<女性性>を露骨にさらしたくなかったのである」などの様々な名言は大変ユニークな発想であろう。
やはり野崎氏はミステリ作家としてよりも、評論家としてのほうが一枚も二枚も上手であるのは本ガイドを読むまでもあるまい。
ところで余談だが、『鵺の碑』は一体いつになったら刊行されるのであろうか。京極と文藝春秋の間で何があったかは知らないが、首を長くして待っているファンが大勢いることは忘れないでほしいものである。もうとうの昔に完成しているはずだと思うのだが、どなたか情報を持っている方がおられたら是非ご教示願いたい。

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