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ミステリの祭典

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静かなる炎
ベルンハルト・グンター

作家 フィリップ・カー
出版日2014年01月
平均点7.00点
書評数1人

No.1 7点 kanamori
(2014/03/22 11:43登録)
祖国ドイツを追われてアルゼンチンに辿り着いたベルニー・グンターは、ペロン大統領直属の秘密警察の大佐から、相次ぐ少女惨殺事件の捜査を依頼される。その殺害手口は、18年前のベルリン警察時代にグンターが担当し未解決に終わった殺人事件に酷似していた--------。

元ベルリン警察の刑事、元ナチス親衛隊員、元私立探偵のベルンハルト(ベルニー)・グンターを主人公とするシリーズ5作目。
グンターの流浪の人生には常にナチスの亡霊と陰謀がつきまとう。南米アルゼンチンの首都ブエノス・アイレスを舞台にした私立探偵小説風の物語と、18年前の戦前ナチス抬頭直前のベルリンを舞台にした警察小説風の物語が交互に並行して描かれるが、いずれも背景にはナチスの影が見え隠れする。ペロン大統領や伝説の大統領夫人エビータ、亡命したナチス戦犯のアイヒマン、メンゲル医師、もと親衛隊大将カムラーなど実在の人物が大きく関与してくる歴史謀略ものの面白さがあった。
窮地になっても減らず口をたたく皮肉屋のベルニーの造形も相変わらず魅力的。続く第6作はCWA賞のヒストリカル・ダガー受賞、第7作がMWAエドガー賞の最終候補と評価が高いようで、続編の早期邦訳を期待したい。

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