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ミステリの祭典

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悪の扉
砧順之介シリーズ 別冊シャレード51号掲載

作家 山沢晴雄
出版日不明
平均点6.00点
書評数1人

No.1 6点 nukkam
(2014/01/12 21:12登録)
(ネタバレなしです) デビューは1951年ながら社会派推理小説全盛期の中でその作品は不評、或いは発表の場さえなかなか与えられなかった不遇の本格派推理小説家である山沢晴雄(1924-2013)の長編第1作です。書かれたのは1964年ながら出版を拒否されて長らくお蔵入り状態、ようやく1999年に同人誌に発表できたという不幸な運命をたどった作品です。前半は複雑な人間関係整理とアリバイ調査の地味な展開ですが、後半になると密室殺人が発生するし、「密室パズルを解いてみて下さい」と「読者への挑戦状」まで用意されています。しかも探偵役の砧順之助による密室殺人のトリック解説と犯人の指摘で物語は終わらず、まだまだどんでん返しの謎解きが続きます。考えに考え抜かれた複雑な謎解きプロットはまさにパズラー(作者は手品文学とアピールしています)、確かに社会派推理小説のリアリズムとは対極にある作品ですが、これだけの作品が埋もれていたのは時代が悪かったとしか言いようがないですね。

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