home

ミステリの祭典

login
撓田村事件 iの遠近法的倒錯

作家 小川勝己
出版日2002年10月
平均点6.00点
書評数1人

No.1 6点 メルカトル
(2015/03/31 22:10登録)
再読です。
その名の通り、因習深い村で起きた連続猟奇殺人事件を扱った本格ミステリ。ちなみに、タイトルはしおなだむら事件と読む。
横溝正史の流れを汲む作品と言えるが、その冗長さとリーダビリティにおいて、まだまだ正史の域には達していないと感じる。
主題はホワイダニットとフーダニットだが、犯人の意外性はさほどない。なぜ殺人を犯したのか、というよりも、なぜ死体を切断したのかという理由については、ある程度納得のいくものではあった。全体を通して、ややメリハリがなく盛り上がりに欠けるきらいはあるが、横溝を標榜し、さらに独自の世界観を追求する姿勢は褒められるべきと思うが、それが必ずしも成功していると言えないところがつらい。
色々瑕疵があるものの、良作ではあると私は思う。

1レコード表示中です 書評