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ミステリの祭典

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友情ある殺人
殺人同盟シリーズ

作家 ロバート・L・フィッシュ
出版日1981年04月
平均点5.00点
書評数1人

No.1 5点 kanamori
(2014/02/20 20:33登録)
人類愛財団から高額の賞金を受け取った老ミステリ作家三人組が楽しい船旅を終えイギリスに帰ってくる-----そんな新聞記事を読んだ小悪党コンビは、その一人を誘拐する計画を立てる。老作家たちが株の暴落で一文無しになっていることを知らずに。

”殺人同盟”シリーズの3作目。法廷ミステリ、船上ミステリに続いて、今回は誘拐をテーマにしたクライム・コメディになっている。
誘拐された側が逆に主導権を握ったり、立場を逆転させることでスラップスティックな笑いを誘うのが、このタイプの定番の趣向で、誘拐犯の片割れでお人好しのハロルドを利用した他愛無い策略が可笑しい。例によって弁護士のパーシヴァル卿が絡んでくる後半は一種のコンゲーム的な面白さが加わる。ただ、言葉のパロディ部分など非英語圏の読者にはいまいち面白さが伝わりにくい側面もありますが(この難点は、シュロック・ホームズものと共通する)。
なお解説に、同趣向の誘拐コメディ作品として、「リリアンと悪党ども」「ジミー・ザ・キッド」「赤ちゃんはプロフェッショナル」「ドーヴァー⑧人質」「大誘拐」が挙げられているが、本書を含め出版がほとんど70年代後半に集中しているのが興味深かった。

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