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ミステリの祭典

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傀儡の糸

作家 亜木冬彦
出版日1993年07月
平均点4.00点
書評数1人

No.1 4点 メルカトル
(2014/01/03 22:24登録)
再読です。
終盤までは典型的なサイコサスペンス。主人公は精神科の女医だし、所轄の刑事二人がコツコツと地道に犯人を捜査するが、厳しい監視の中、犯人は若い女性ばかり4人を惨殺する。その手口はかなり残虐で片手の指と両足の指をすべて切断し、鼻や耳を切り取ったりもしている。そしてなぜか一本だけ指が現場から消失していた。
猟奇殺人鬼の仕業なのか、なぜそのような手間のかかることをしたのかなど、ミステリ的な興味も当然持たれる。
がしかし、終盤突如としてホラーに転じて、犯人が一体誰なのか判然といない上、様々な疑問点が未解決のまま幕を閉じてしまう。
ただ、なぜそれぞれの被害者の指が一本だけ消えていたのかという理由だけは、なるほどと思わされる。その点は無理のない結末だとは思うが、いかんせん、ミステリとしての解決がなされていないのでは、読者として不満が募るばかりである。
作者としてはミステリとホラーの融合みたいな線を狙ったのだろうが、両方が中途半端でイマイチだった。

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