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ミステリの祭典

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秘密屋文庫 知ってる怪
【秘密屋&秘密室】

作家 清涼院流水
出版日2004年08月
平均点4.00点
書評数2人

No.2 2点 風桜青紫
(2016/01/25 04:56登録)
・「赤」
ただ都市伝説を並べただけ。小説仕立てにする必要性がない。それ以上にストーリーが面白くないし、本気で獣人読みしようかと思ってしまった。一応謎らしきものは出されるが、オチは安定の流水。蘇部健一『音の気がかり』の劣化。

・「白」
鴉城蒼司の「オッサンヨロシク」が舞城によるパロディだったと気づく。

・「黒」
投げやりなストーリー展開と流Pの本名に笑った。

小説は正直つまんなかったので安定の2点だけども、袋とじのあとがきがなかなか興味深い。太田氏が「あきらめてください流水さん!」言うあたりの妙な熱さときたら。流水って本当にファンのために命かけてるのなあ。大言壮語の腹立つ奴って思われがちだろうけど、中身は結構ピュアハートっぽくて好感が持てる。これで作品が面白ければ素晴らしい作家なんだけど。っていうか、JDCや木村彰一よりも流水を主人公にしたほうが面白い小説になるんじゃ……。

No.1 6点 メルカトル
(2013/12/24 22:31登録)
再読です。
またまた流水。
本作は講談社ノベルズ中、最も短い『秘密屋 赤』と『秘密屋 白』の二作を併せたものを改稿し、新たに『黒』の章を加筆し、一つにまとめた文庫版である。
「赤」は口裂け女、人面犬、トイレの花子さん、斧男などの都市伝説がどのような状況で目撃されたのか、或いはどんなルーツで伝播したのかを、ぼく流Pが先輩の木村彰一とともに追いかけるストーリー。まあほとんどがそれらの都市伝説を紹介しているに過ぎないが、追跡調査する先々に「秘密屋」という言葉が現れ、果たしてその正体とは一体?という興味も一つの読ませどころとなっている。
「白」では、いきなりぼくのところに電話がかかってきて、自分のことを「秘密屋」と勘違いして、依頼をしようとする相手の中年男性との駆け引きを描いている。
「黒」はついに当の「秘密屋」がぼくの前に現れ、ぼくを利用し、再び様々な都市伝説を復活させようと、あの手この手で画策するというもの。
ラストは意外な方向へと物語は進展し、突然メタな展開に。
再読だが、内容は全く忘れていたので新鮮な気持ちで読むことができた上に、結構面白かったので満足している。
個人的に印象深かったエピソードは、中国での「達磨」の話。これは知る人ぞ知るという本当の話らしいが、知らない人はそのほうが幸せというものだろう。
それと、「500円ばばあ」もなかなか傑作だった。いや、世の中には色々な都市伝説が存在するものだと感心させられた。

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