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ミステリの祭典

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2014本格ミステリ・ベスト10

作家 雑誌、年間ベスト、定期刊行物
出版日2012年12月
平均点7.00点
書評数1人

No.1 7点 Tetchy
(2014/04/23 19:34登録)
正直本家の『このミス』よりも読むのが楽しみなのが本書。なんせミステリのディープな部分に踏み込んだその年のジャンル別の傾向や評論が楽しくて仕方がないからだ(なのにこれが初の感想だなんて、意外なのだが)。

さて早速ランキングだが、麻耶雄高強し!今年は『貴族探偵対女探偵』で1位を獲得。短編集が1位を獲得するのは難しいと云われているが、麻耶氏にはそんなジンクスも関係なかったようだ(そういえば『このミス』の1位も短編集だった)。もはや出せば1位の感もある麻耶氏。それだけ新作を待っているファンが多いと云う事だろう。
続く2位は驚きの新人、青崎有吾の『水族館の殺人』がランクイン。2作目で2位へと大躍進だ。正直読む気は全く起きないのだが、現代のクイーンの衣鉢を継ぐと云われているだけのことはあるのか。3位はこれまた驚異の新人梓崎優がランクイン。こっちは大いに読む気あり。しかし人生初の長編でこのランクとは天才とは本当にいるだと思った次第。4,5位は法月作品が続けてランクイン。『このミス』でも1位になったし、世のミステリファンは法月の新作を待っていると云っても過言ではないようだ。人気と内容が伴っているかが気になるのだが。

5位以下は『このミス』でもランクインした作品がランクインしている。小林泰三の『アリス殺し』、歌野氏の『コモリと子守り』、島田氏の『星籠の海』、米澤氏の『リカーシブル』が続く。ここまで見ると『このミス』が本格ミステリ寄りにますますなっているのが解るが、11位以下はガラリと変わって、本ムックならではのランキングだ。
その中でも霞氏の『落日のコンドル』が入ったのは喜ばしい。あとはこのランキングで初めて目にした作品群―古野まほろ氏の『パダム・パダム』、深木章子氏の『螺旋の底』、森川智喜氏の『スノーホワイト』、etc―が並び、これぞ本ミス!といった感じか。

毎年の如く、くどく云っているが、その甲斐なく今年も海外ミステリの扱いは例年同様のスペースだった。翻訳ミステリー大賞シンジケートなどのWEBでの活性化や各地で行われている読書会が最近海外ミステリが多いのにも関わらず、この扱いの変わりのなさが本ムックで唯一残念な点だ。この海外ミステリの扱いが変わらない限り、本書の評価も変わらないのだが。

しかし今年は総じてパワーダウンの感は否めない。逆に『このミス』に幻の名作ミステリベストテンという好企画があっただけに余計に感じてしまった。

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