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ミステリの祭典

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コズミック・ゼロ 日本絶滅計画

作家 清涼院流水
出版日2009年05月
平均点6.00点
書評数1人

No.1 6点 メルカトル
(2013/11/25 22:46登録)
その年の大晦日も例年のように、大勢の初詣客で各寺社はにぎわっていた。そして年が明けると同時に、明治神宮、熱田神宮、川崎大師、伏見稲荷大社など10ヵ所の初詣客のほとんどが消された。その数およそ650万人。
更に正月休みが明けると、ラッシュアワー時のJR、私鉄の約3000万人の乗客が消された。
そして、時を待たずに今度は、東京、大阪、名古屋の3大都市がダムの爆破により水没した。
これは大規模なテロ行為なのか、或いは某国の工作員の仕業なのか、一体何の目的で・・・
といった、いきなりの怒涛の展開で始まる、この作者らしい荒唐無稽なパニック小説となっている。
単行本が刊行された際、あちらこちらでこれ以上ないほどこき下ろされた作品だが、それは全体を通してマクロな視点からパニックの状況を淡々と描写しており、ミクロの視点からの細かな描写がなされなかったため、リアリティに欠けるとの印象を持たれたからだろうと想像される。
確かに私もそう思うし、公平に見てそのそしりは免れないだろうけれど、私は本作が決して嫌いではないし、出来も悪くないと思う。少なくともお金と時間の無駄とは思わない。
そんなことを書いても、おそらく清涼院流水氏の作品を好意的に受け入れているのは、このサイトでは私以外ほとんどいないだろうから、誰も見向きもしないと思うが、面白いよ、本当に。それだけは言っておきたい。

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