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ミステリの祭典

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パラークシの記憶

作家 マイクル・コーニイ
出版日2013年10月
平均点7.00点
書評数1人

No.1 7点 kanamori
(2016/04/27 18:16登録)
厳寒の長い冬が再び到来しようとする不穏な時代、村長の甥ハーディは、海辺の村で、伝説の女性ブラウンアイズに似た少女チャームに出会う。罪の記憶が遺伝することを恐れるこの惑星の人々は、いままで殺人を犯すことがなかったが、二人は海岸で背中を刺された男の死体を発見する--------。

名作「ハローサマー、グッドバイ」の続編。地球タイプの惑星に住む人々が、厳寒の冬の到来に対峙するという設定は前作と同じで、同時に今作もボーイ・ミーツ・ガール風の物語ではあるものの、前作の主人公ドローヴとブラウンアイズのエピソードがもはや伝説となっている数百年後の世界が舞台となっています。また、記憶遺伝子を引継ぎ、夢見で先祖代々の過去の記憶を呼び起こすことが可能という設定や、地球人が入植していながら”原住民”には不介入という状況が前作とは大いに異なる点です。
SFミステリとして読むと、”起こるはずのない殺人”が中核の謎ということになるのですが、フーダニットはともかく、特殊設定を活かしたホワイダニットの面で一応評価できるものの、そこに作者の力点があるとは思えません。本書のキモはやはりSF的なセンス・オブ・ワンダーにあります。
終盤の展開は、”SF史上有数の大どんでん返し”と言われた前作の終幕を踏襲しながら、より真相に踏み込んだ形ですので、前作のラスト1行を読んで「ええ、どういうこと?」「イミフ」という読者も腑に落ちることになります。謎の動物ロリンの真の役割や、この惑星の人々の存在理由が明かされるくだりは衝撃的でした。

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