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ミステリの祭典

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香港殺人旅行

作家 斎藤栄
出版日1981年01月
平均点7.00点
書評数1人

No.1 7点
(2013/09/15 17:00登録)
多作というより濫作であまり評判のよくない作家ですが、特に初期には謎解き的にかなりおもしろいものもあります。本作は、香港・マカオ団体旅行からの帰国直後に病死した男は、調べてみると、どうやらその男の心臓が弱いことを利用したプロバビリティー殺人らしいことがわかる、というところから始まります。さらにシアン化物による公害、バラバラ殺人のアリバイ、麻薬密輸等様々な要素を組み合わせて、それでも煩雑さを感じさせずうまくまとめて上げているところが魅力です。死体をバラした理由とその殺人動機は見当をつけやすいのですが、悪くないと思いますし、アリバイ・トリックの根本発想も、現代ほど情報化が進んでいない時代だからこそというところはありますが、シンプルで鮮やかです。
公害の元凶を一人の人物に集約してしまったのは、社会悪追求という観点からは物足らないと言えますが、まあいいでしょう。

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