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ミステリの祭典

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白馬岳の失踪

作家 長井彬
出版日1990年06月
平均点5.00点
書評数1人

No.1 5点 kanamori
(2014/06/01 21:32登録)
山岳ミステリばかりを6編収録した短編集。「北アルプス殺人組曲」などの作者の長編の山岳ミステリは、謎解きモノとして面白かった覚えがあるのですが、短編だとトリックや物語の底が見えやすくなってしまい、イマイチな出来のものが多かった。

表題作の「白馬岳の失踪」と「遠見二人山行」は、新聞社の編集委員・曽我を探偵役とした謎解きモノ。前者は凡作だが、「遠見二人山行」は、構成上の仕掛けと人物トリックが効果的な(編中で唯一の)秀作。小道具である山岳日記の使い方も巧い。
「悪女の谷」は、森村誠一の「密閉山脈」のトリックを小粒にしたようなアリバイ工作だが、真相はミエミエなのが痛い。
残りの作品は、山岳の情景描写は秀でているものの、偶発的な遭難事故を装った殺人という同趣向の話がつづき、謎解きの趣向が弱いものばかりなのが残念でした。

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