小豆島殺人事件 |
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作家 | 中町信 |
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出版日 | 1991年09月 |
平均点 | 5.00点 |
書評数 | 1人 |
No.1 | 5点 | 人並由真 | |
(2019/10/28 02:44登録) (ネタバレなし) 東洋機器の社内サークルであるテニス部。そこに所属する27歳の君原一太郎は、小豆島での三日間の夏期合宿に参加する。現地には4人の男女の部員仲間が先行しており、さらに自分のあとから遅れてもう一人、別の場所に移動する合宿の日程に合流するはずだった。君原は、投宿するなじみの旅館「屋坂荘」の美人の一人娘・屋坂教子に再会するのを楽しみにするが、しかし現地ではその教子の友人の新聞記者・須貝菊代が何者かに崖下に突き落とされて重傷を負うという事件が起きていた。さらにテニス部の周辺では、新たな殺人事件が……。 Amazonのマーケットプレイスで古書価50万円という表示にフき出し(2019年10月27日現在。出品者は一応、2人いる)。いくら複数者の出品でも、これは双方がグルか、あるいは後発の方が先行のアホな冗談に付き合った形だと思うが、何はともあれ興味を惹かれた。そこで近所の図書館にあるのを見つけて、借りて読んでみた(なんかそのAmazonのレビューで、実にすごいトリックとかなんとか驚いているお方もいるし)。 私的には久々の中町作品。図書館本だから、もちろんタダで楽しんだ(笑)。 でまあ、内容だが……連続殺人のひとつの山となる密室の真相はソコソコ面白いが、かたや読者(評者)に違和感と疑念を抱かせた(中略)トリックの方は……。 ……これは、なんつーか、チョンボだよなあ……。いや、この騙しのテクニックは絶対にタブーとまではいかないけれど、あまりにも本作はそのやり方がアレすぎる(汗)。 ただまあ、このネタの妙ちくりんさゆえに印象に長く残るであろうことは確実で、例えるなら打者が両手にストッキングをはめてバットを握って打席に入って、ショートゴロを打った感じ。だからなんなんだという感じだが、とにかくそんなヘンなことをやって見せたという意味で、記憶に残るであろう。ただそれだけの作品という気もするが。 いや、怒る読者がいても全然文句は言いません(笑)。 |