恋 |
---|
作家 | 小池真理子 |
---|---|
出版日 | 1995年10月 |
平均点 | 5.00点 |
書評数 | 1人 |
No.1 | 5点 | 臣 | |
(2013/07/11 19:53登録) 第114回(1995年10月)直木賞受賞作品。 学生時代(1972年)に、恋愛のもつれから殺人を犯した布美子が、服役後、死の直前に、事件の真相を語る。 序章で、まず惹かれる。この導入部を読んだだけで、ぞくぞくする。 本章(回想)の序盤も、序章の勢いで気持ちを昂ぶらせながら読んだ。ただ、中盤では、私(布美子)と、事件の当事者である信太郎・雛子夫妻との理解しがたい異常な関係の描写が延々とつづき、早く真相を知りたいという気持ちも手伝って、苛立ちが募る。 たんなるドロドロな恋愛話ではない。アンニュイ、虚無、退廃、堕落・・・、こんな言葉があてはまりそうだし、あっけらかんとした感もある。 必死になって読みとおした。真相にたどりつき、読み終えると、この小説にあの真相が必要だったのかと考える。推理作家だった作者はミステリーとして構成するために、あのオチ(真相)を付けたのだろうか。 終章も、心に残った。 迫力はあった。でもピンとこないなぁ。主人公の心情を思う気持ちよりも、あんな男を殺して一生を棒に振るなんて・・・という気持ちのほうが強い。 序章と終章がよかったので7点献上、とも思ったが・・・。 |