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ミステリの祭典

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シンメトリー
姫川玲子シリーズ

作家 誉田哲也
出版日2008年02月
平均点5.00点
書評数1人

No.1 5点
(2018/09/10 14:52登録)
姫川玲子シリーズの初短編集。全7編が収録してある。
表題作が4編目で、目次を見たところ、「シンメトリー」を中心に左右対称っぽく見える。それも意識したのだろうと解説者は述べている。

通俗的で浪花節的なストーリーで読者を惹きつけてくれるのが、この著者の得意技なのだが、短編では人物造形も薄い感がして、それらの特徴は長編ほど顕著ではない気がする。
さらに個人的には、主人公・姫川のキャラにクールさが漂っているのも気にいらない。短編だから仕方がないのか。それとも、映像での記憶に押されて、記憶がねじ曲がってしまい、姫川を少しドジな熱血女刑事だと思い込んでいたためなのか。
まわりの刑事たちの個性もほとんど目立たない。
本格要素がほとんどないのも残念なところ。

とはいえ、先へ先へとページを繰ってしまうリーダビリティの高さは賞賛に値する。本格性については期待せずに、捕物帳を読む程度で臨めば問題はない。
しかも、ワンパターンにならず、プロットに種々工夫もある。

好きな作品は、殺し方が凄い「シンメトリー」と、人情物の「手紙」の2編。

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