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ミステリの祭典

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溺れる犬は棒で叩け
THANATOSシリーズ

作家 汀こるもの
出版日2013年07月
平均点5.00点
書評数1人

No.1 5点 メルカトル
(2022/09/14 22:38登録)
平安時代からの旧家・在澤家が跡継ぎとして選んだのはこともあろうに「死神」と呼ばれる少年・立花美樹!信州山中の屋敷で行われた継承の儀式の日に、案の定、殺人事件が!鯉池の濾過槽から溺死体が発見された。水槽に残された「化」という文字、錦鯉の消失、渦巻く陰謀…屋敷に集った「探偵」と呼ばれる弟・立花真樹、謎の刑事、奇矯な監察医が連鎖する死の真相に迫る!
『BOOK』データベースより。

こるものが横溝をやってみたらこうなりましたと云う感じ、でしょうか。確かに家系図、山村の伝説、相続争い等如何にもな雰囲気を出そうとしていますが、明らかに失敗作ですね。トーンが違いすぎます。
語り口が雑でごちゃごちゃしており、連続殺人の詳細もおざなりで、いつの間にか犯人が明らかになってしまい、何だか煙に巻かれた様な感覚だけが残りました。

今回は主役の筈の双子が狂言回しの役をやらされている感じで、良い所がありません。相変わらず魚(鯉)の蘊蓄のシーンだけは熱心に語られますが。一番真面な事を言っているのは湊警視正であり、最も美味しいところを持って行くのが監察医の出屋敷だったりします。これでは本格ミステリではなく、半本格に成り下がってしまっている気がします。作者もここらが引き際と感じたのか、これ以降シリーズは書かれていません。
終章でまずまずの驚きを提示してくれたので1点加算しました。

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