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ミステリの祭典

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バイリンガル

作家 高林さわ
出版日2013年05月
平均点5.00点
書評数1人

No.1 5点
(2017/10/13 23:31登録)
2012年第5回ばらのまち福山ミステリー文学新人賞受賞作。
第一章は東京で始まりますが、事件の舞台は約30年前のアメリカです。メインの誘拐事件に殺人も加わる展開で、謎解きの捜査や推理よりもサスペンス中心の作風です。その中に、主に小児に起こる発音間違いの「構音障害」を謎解き要素として取り入れていて、この症例については知らないのですが、なかなか楽しめました。ダイイング・メッセージもありますが、これは不要ですね。
第五章のあるセリフの伏線があまりに露骨なのは気になりましたし、第六章での唐突なネタバレセリフにも唖然とさせられました。ただし後者の方は、巻末の選考評によれば受賞後、島田荘司の勧めにより作品構造自体に手を入れたそうなので、その時の削除忘れと思われます。このどんでん返し狙いの改稿により、最初聡子がニーナを避けたがった理由がほとんどなくなってしまっている点が、かえって不満でした。

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