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ミステリの祭典

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十二枚のだまし絵

作家 ジェフリー・アーチャー
出版日1994年12月
平均点7.00点
書評数1人

No.1 7点 E-BANKER
(2013/05/18 22:38登録)
1994年発表。
ストーリー・テリングの天才または魔術師とも言える作者の作品集。

①「試行錯誤」=ごく短い作品が並ぶ本作にあって、唯一まとまった分量があるのがコレ。図らずも獄中に入った男が「試行錯誤」した結果・・・なんで? という結末。
②「割勘で安上がり」=これは相当秀作というか、このツイスト感は素晴らしい。主人公の女性が読者に対してウィンクでもしている様が目に浮かぶようだ。
③「ダギー・モーティマーの右腕」=ケンブリッジが誇る伝説の漕ぎ手(ボートかな?)、ダギー・モーティマー。彼を顕彰して作られた右腕の像に纏わる一編。
④「バグダットで足止め」=これはサスペンス感のある作品。イラクからアメリカへ政治亡命した男が、飛行機の故障でバグダットにトランジットしなくてはならなくなった・・・さて!? これもオチが効いてる。
⑤「海峡トンネル・ミステリー」=これは作者らしい皮肉の効いた小粋な作品。
⑥「シューシャイン・ボーイ」=イギリス領のある小島の総統に就任した男。彼の元へ本国の貴族が訪れることになったことから発生するドタバタ劇を描く一編。オチが効いてるような素直に読めるような・・・
⑦「後悔はさせない」=生命保険に絡む騙し合いがテーマ。あまり印象に残らず。
⑧「高速道路の殺人鬼」=これも④同様、サスペンス感の高い作品。ハイウェイを走る女性を追い掛ける変質者&殺人鬼。逃げても逃げても追い掛けてくる・・・男。
⑨「非売品」=これはちょっといい話かな。才能のある人って、こういうチャンスをつかむってことかな。
⑩「TIMEO DANOS」=舞台はギリシャ。ギリシャの人って、こんなふうにいい加減なんだろうなぁ・・・
⑪「眼には眼を」=これは正直なとこ、オチがよく理解できなかったのだが・・・。結局どういうこと? イングリッシュ・ジョークか?
⑫「焼き加減はお好みで・・・」=これは何と、結末が4種類も用意されてるという趣向の作品。ステーキの焼き加減になぞらえ、レア・バーンド(黒焦げ)・オーヴァーダン(焼きすぎ)・ミディアムに分かれる。それぞれに見合ったオチが用意されているわけだが・・・

以上12編。
本作の原題は、ずばり「Twelve Red Herrings」。
つまりは、12作品全てがレッドヘリングを主題として書かれている。

相変わらず練られたプロットとリーダビリティは「さすが」という感じで、素直にお勧めできる作品。
まぁ、面白くないというか、よく分からない作品も混じってはいるが・・・
(面白いのは②④⑧辺りかな。あとはやっぱり⑫)

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