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ミステリの祭典

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憎しみの巡礼
修道士カドフェル

作家 エリス・ピーターズ
出版日1993年03月
平均点5.50点
書評数2人

No.2 5点 nukkam
(2016/09/06 19:18登録)
(ネタバレなしです) 1984年に出版された修道士カドフェルシリーズ10作目です。時代は1141年5月、スティーブン王と女帝モードの争いは形勢が逆転してモード優勢となりスティーブン擁護派のシュルーズベリが不安を隠せない状況下で起きた事件が扱われています。懐古調になったのか「聖女の遺骨求む」(1979年)、「氷のなかの処女」(1982年)、「聖域の雀」(1983年)などのエピソードが振り返られたり、懐かしの人物が再登場しています。特に要注意なのが「聖女の遺骨求む」のミステリー部分のネタバレをしていることで、未読の人は本書より先にそちらを読んだ方がいいと思います。前半は人物関係がばらばらでまとまりの悪い物語に感じられましたが最後には一つの流れに上手くまとめています。全体としては冒険小説のジャンルに属する作品ですが、本格派としての推理場面も終盤には用意されています。

No.1 6点 mini
(2013/08/02 09:58登録)
* 1913年生まれ、つまり今年が生誕100周年にあたる作家を漁る、その第1弾エリス・ピーターズの3冊目

今回も前作に引き続いてスティーヴン王と女帝モードとの抗争が大きく影響する話になっている
スティーヴン王はまだ幽閉状態で、女帝モードはロンドン入城も間近な情勢で戴冠式の為にロンドン市民を説得中である
女帝モード側の諸侯の部下が使者としてシュールズベリにやってきたが、その人物とは?「氷のなかの処女」で初登場したあの人物なのだ
前作「死者の身代金」では「死を呼ぶ婚礼」に登場したあの修道女が再登場したりと、シリーズの展開も面白くなってきたぞ、前作あたりからシリーズも充実期に入ってきたようだ
この「憎しみの巡礼」では解説にもあるが、いろいろな事件が小出しに起きて前半は何がメインの事件なのかはっきりせず、それらが終盤にどのように結び付いて収束するのかという、シリーズの中ではちょっと変わったパターンだ
少々残念なのはネタバレ気味の題名もあって、なんとなくこういう真相なのでは?と読者も予想し易い
前作「死者の身代金」の出来が良過ぎたので比較するとこの位の点数かなぁ

ところで「憎しみの巡礼」には奇跡を起こす聖女の遺骨の話が中心テーマになっているが、これはシリーズ第1作「聖女の遺骨求む」のあの遺骨なのだ
したがってシリーズ第10作目「憎しみの巡礼」を読む前に1作目「聖女の遺骨求む」と6作目「氷のなかの処女」は読んでおく必要が有る
「聖女の遺骨求む」はシリーズ第1作目ではあるが、話の流れ的には後回しでもいいと私は再三言ってきたが、この「憎しみの巡礼」だけは別、この作までには第1作目も先に読むべきだ

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