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ミステリの祭典

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死者の身代金
修道士カドフェル

作家 エリス・ピーターズ
出版日1993年01月
平均点6.50点
書評数2人

No.2 5点 nukkam
(2016/09/13 12:12登録)
(ネタバレなしです) 1984年に発表された修道士カドフェルシリーズの第9作で、過去の作品にも登場していたシリーズキャラクターの身の上に重大な出来事が起こる、シリーズファン必読の1冊です(教養文庫版も光文社文庫版も裏表紙の粗筋紹介でネタバレしちゃってますけど)。作中時代は1141年2月、北方へ進軍したスティーブン王の元へシュルーズベリからも援軍を派遣していたが戦局は混乱し、思わぬ殺人事件が発生します。戦局の微妙な変化が豊かに描かれている分、謎解きの興味がやや寸断され気味な点はミステリーとしての評価の分かれるところでしょう。一応犯人当ての本格派ではありますがむしろ誰がどのようにこの事件を決着させるのかという点の方にクライマックスを置いている作品です。あと本筋とは関係ありませんがカドフェルの年齢も本書で明かされています。

No.1 8点 mini
(2013/04/09 09:59登録)
* 1913年生まれ、今年が生誕100周年作家を漁る、その第1弾エリス・ピーターズの2冊目

さて修道士カドフェルシリーズを読むのも中盤戦に入ってきた
前回読んだ「聖域の雀」では、歴史的背景が殆ど関わりがなく比較的に平和な時期に起きた民間の事件を扱っていた
だから「聖域の雀」はミステリーとしてはシリーズ中でも普通の本格派色が強かった
しかしこの次々作「死者の身代金」からは再び戦争の影響に翻弄されてくる
スティーヴン王が捕らえられ、女帝モード側が有利と見たウェールズの一部豪族達が動き出したのだ
一応はスティーブン王側のシュールズベリ一帯でも不穏な空気が広がる

今回はシリーズ中でも一種のターニングポイントのような作で、州執行長官が大変な事態になるわ、「死を呼ぶ婚礼」にも登場したあのしっかり者の修道女が再登場するわ、盟友ヒュー・べリンガーは執行副長官の立場上てんてこ舞いだわ、とにかくサービス満点な力作
ほろ苦い真相の謎解き面でも優れており、シリーズ最高傑作の1つと言って良いだろう
あっ、でも初めて修道士カドフェルを読もうと思った貴方、これを最初に読んじゃいけませんよ、少なくとも「死体が多すぎる」と「死を呼ぶ婚礼」は前もって読んでおかなくては

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