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ミステリの祭典

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怪人フー・マンチュー
怪人フー・マンチュー

作家 サックス・ローマー
出版日2004年09月
平均点5.00点
書評数1人

No.1 5点
(2021/06/22 20:26登録)
人気のあった純粋悪役キャラで何度も映画化されたということでは、ドラキュラとも共通するフー・マンチューですが、映画版も見たことがなく、名前だけは何となく憶えていたという程度でした。むろんドラキュラとは違い、普通の人間ではありますが、天才的な科学者だったんですね。原題には Dr. が付いています。風貌は背が高く、目が緑色に光るというのですから、全然中国人らしくありませんが、原作がこうだからこそ、映画では東洋人でなくボリス・カーロフやクリストファー・リーが演じたのでしょう。
科学者らしく、生化学的なアイディアを使って悪事を働いてくれるのですが、成分不明の毒薬や得体のしれない生物など、普通はミステリでは使ってはならないとされるものだらけです。徹頭徹尾荒唐無稽な展開で、二十面相なら一応納得させてくれるようなラストも、論理的説明は全く無視。クリスティーの『ビッグ4』も当然本作を意識してたんでしょうね。

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