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ミステリの祭典

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映画篇

作家 金城一紀
出版日2007年07月
平均点6.00点
書評数1人

No.1 6点 メルカトル
(2015/03/25 21:56登録)
さまざまな映画にまつわるエピソードを絡めた、青春、恋愛、アクションなどの短編集。
ミステリではないので、本来書評は差し控えるべきところだが、なぜか登録されていたので少しだけ書こうと思う。
なんと言っても最終話『愛の泉』が素晴らしい。祖父の一周忌を迎えるにあたって、落ち込んでいる祖母を何とか励まそうと、孫の「僕」が祖母の思い出の映画をどこかの劇場で上映しようと奮闘する姿を生き生きと描いている。「僕」のいとこも個性豊かな面々で、それぞれが非常によく描き分けられている。
また、映画がテーマになっているだけに、どの短編にも少しずつだが数多くの映画が紹介されており、例えば『愛の泉』ではいとこのリカが一番好きな映画は『天空の城ラピュタ』と言っていたり、主人公の映画オタクの友人に『ローリングサンダー』のDVDを26回観たとか言わせたりしている。私もこの二作はかなり好きだが、26回は多すぎるだろうと思わず苦笑してしまった。
まあとにかく、この中編『愛の泉』だけでも読む価値は十分あると思う。他はそれなりの出来だろうか。

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