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ミステリの祭典

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蝶々夫人に赤い靴(エナメル)
鮎村尋深と画家の守泉音彦

作家 森雅裕
出版日1991年04月
平均点5.00点
書評数1人

No.1 5点 kanamori
(2014/04/13 13:54登録)
長崎で結婚式を挙げる友人・尋深のもとに、忘れ物の草履を届けるため新幹線に乗り込んだ音彦だったが、隣席の無賃乗車の老女を親切心で手助けしたことから、「蝶々夫人」と坂本龍馬の愛刀が絡む過去の事件に関わることに-------。

画家・守泉音彦とプリマドンナ・鮎川尋深のコンビによるオペラ・シリーズ第3弾。「椿姫」「カルメン」に続いて、今回は「蝶々夫人」がテーマになっています。
本作の主役は、蝶々夫人のモデルとなった女性の娘と称する元プリマドンナの愛子お婆さんで、音彦のみならず、尋深までも振り回してしまう老女のキャラクターが強烈です。ただ、蝶々夫人や坂本龍馬の愛刀に関わる歴史の謎というミステリ要素はあるものの、刀剣に関する薀蓄部分がマニアックすぎて、謎解きの興味を持続するのが難しかったというのが正直なところ。
それでも、グラバー邸の屋外舞台で結婚式前日に尋深が演じるオペラ「蝶々夫人」、音彦が帰京する飛行機内のラスト・シーンなど、シリーズ通読者にとっては印象に残るシーンが多い。

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