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ミステリの祭典

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鳥獣の寺

作家 山村美紗
出版日1977年12月
平均点5.00点
書評数1人

No.1 5点
(2013/02/08 22:05登録)
山村美紗の代表作の1つともされている本作は、作者自身が終戦後韓国から引き上げてきた体験を生かした設定になっています。ヒロインの湯川彩子はその時代の体験を基にした小説がベストセラーになった作家ということで、ソウルで起こった事件が、現在の連続殺人の根底にあります。
『エジプト女王の棺』ほどではありませんが、てんこ盛り印象の強い作品で、第2の殺人までは、ダイジェスト版を読んでいるような気になるくらい、さっさと話が進められます。そしてヒロインの兄を名乗る2人の登場が事件を複雑化して、次から次へと死体は増えていきます。
最終的な決着を見ると、確かに伏線は張っているのですが、あまりに露骨なものもある一方、偶然頼みが過ぎるミスディレクションもありますし、説明不足というか破綻している部分もいくつか(特に2人の「兄」について)見受けられます。

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