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ミステリの祭典

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伯林蝋人形館

作家 皆川博子
出版日2006年08月
平均点7.00点
書評数1人

No.1 7点 makomako
(2013/02/03 10:05登録)
6人の作品とそれの解説といった体裁となっている。
 それぞれが自分の視点で同じ登場人物、同じ時代の作品を書きその後に解説様の話がつづく。第1次大戦後の混乱したドイツが生々しく描かれ、このような無茶苦茶な時代はなかなか想像しがたいのだが、本当にこんな世界に生まれなくてよかったと実感させられる。
 これでは世の中に絶望して自殺や享楽が横行し、極端な思想に走ろうというのもある程度理解できる。
 それにしても複雑に内容が絡み合っており、わたしなどは作者に翻弄され続け登場人物が少ないにもかかわらず頭が混乱して内容を十分に把握したとは言いがたい。
 解説の瀬川氏が年表を作ってくれており、それを読んでかなり混乱が収まったという次第です。
 東西ドイツが統一されてしばらくしたころにドイツへ行き、西と東の違いをまざまざと感じたものでしたが、この小説の時代はそんな程度の混乱ではすまされない破壊と混乱が満ち満ちている。
 暗く悲惨な時代を描いた秀作と思います。

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