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ミステリの祭典

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ラヴクラフト全集 (7)
サルナスの滅亡 イラノンの探究 木 北極星 月の湿原 緑の草原 眠りの神 あの男 忌み嫌われる家 霊廟 ファラオとともに幽閉されて 恐ろしい老人 霧の高みの不思議な家 初期作品 夢書簡 断片

作家 H・P・ラヴクラフト
出版日2005年01月
平均点5.00点
書評数2人

No.2 6点 クリスティ再読
(2022/01/17 19:45登録)
落穂ひろいに近い資料的な巻だから、あまり期待してなかったんだが、面白く読める。4巻5巻にある読者に迎合したような安っぽい作品なんかよりも、ずっといいんじゃないかなあ。突出していい作品はないけども、書きっぷりが安定している。
これも意外だけど、ダンセイニ風、とされるファンタジー傾向の作品の「サルナスの滅亡」でも、ホラー傾向が結構強いこと。どっちか言えば第6巻のファンタジー系作品の方が意図的に書いている印象が強い。HPLって根っからのホラー体質みたいだ。だからこの7巻はしっかりホラーしている。

やはり長めの「忌み嫌われる家」とか「霊廟」とか、「チャールズ・ウォード」のエスキスみたいなものだけど、ああいったパラノイアックなくらいに子細に及ぶ歴史記述のスタイルが読みどころ。
魔術王ハリー・フーディニのゴーストライターをした「ファラオとともに幽閉されて」は、フーディニ自身がエジプト旅行の際に、ギザで罠にハメられてピラミッドの内部に縛られて閉じ込められる...という設定の話。フーディニらしい脱出とその際に目撃した地底の秘儀の話で、これを一人称で記述していて面白いけど、書きっぷりはHPLの粘着質で妥協ゼロ。だからオシゴトというよりもコラボ感が出ていて、HPLがフーディニに憑依したかのような体験談になっている。

あと自分が見た夢をそのまま手紙に書いた「夢書簡」は、どこまで夢か!って言いたくなるくらいにHPLの小説そのまま。「ランドルフ・カーターの陳述」やら「ナイアルラトホテップ」まんまな夢を見ている....ちょっと絶句するような「夢見人」だ。スペイン駐留のローマ軍団の文官を主人公にする夢は小説にはなっていないみたいだけど、HPLというよりR.E.ハワードみたいな夢だ(苦笑)。
いやいや、「資料的」とか言って軽く見ちゃいけなかった。なかなかの読み応え。

No.1 4点 ムラ
(2013/01/25 19:13登録)
これにて終了。
一番残念なのはこの作品の中でも特に面白そうだった断片が未完だったこと。末裔と本はヨグとネクロノミコンの事を言ってると思うので、銀の鍵の扉を越えてで完結してる気がするけど、アザトホースはドリームランドの保管として続きを読みたかった。
サルナス、イラノンはダンセイニ風の神話ファンタジーで結構楽しめた。木なんかもセオリーどうりの話だが、文体が好みだったので楽しめた。しかしこの巻を見ると、ラヴクラフトがギリシア神話大好きなのがわかる。ノーデンスとギリシア神話の神々がコラボしたのには笑ってしまった。
ファラオとともに幽閉されては、訳者の解説見た感じ仕方ないとはいえさすがに説明が多すぎないだろうか。
とはいえこれでおしまいと思うとさびしくもある。まぁ別冊あるのだけれども

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