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ミステリの祭典

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生誕祭

作家 馳星周
出版日2003年05月
平均点7.00点
書評数1人

No.1 7点 Tetchy
(2013/01/23 17:42登録)
狂乱の時代バブル絶頂期を舞台に億単位の金が躍る世界を描いた作品。金を動かし、金の魔力に憑りつかれ、金に溺れる人々の虚構のダンスが繰り広げられる。

一癖も二癖もある人物たちの関係が複雑に絡み合い、欺瞞と憎悪と裏切りの黒いゲームが繰り広げられる。
それは人心操作のヒエラルキーとでも云おうか。麻美は波潟を操り、美千隆に操られる。美千隆は麻美と彰洋を操り、波潟に真意を悟らせない。波潟は美千隆に大いに疑念を抱きながら彰洋を受け入れ、利用する。その3人に翻弄される彰洋。わずかに残っていた純粋さはすり減り、自己嫌悪の沼にずぶずぶと嵌っていく。自我崩壊が進んでいく。

上下巻合わせて1,050ページ強の大作。しかし果たしてこれだけのページを費やす必要があったのかとも思う。巨万の富を得ながら、金のために金を遣い、金を稼ぐ男たちの終わりなき修羅の道行。全てが破滅へと収束していくように紡いだ物語はしかし、いつもながらの呪詛の連続で途中だれてしまったのは否めない。恐らくこの半分の分量で同様の物語を紡ぐことはできたのではないか。

もう金と暴力とセックスまみれの話は読み飽きた。もっと違う一面の馳作品を期待したい。

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