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ミステリの祭典

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真夜中に捨てられる靴

作家 デイヴィッド・マレル
出版日2007年04月
平均点8.00点
書評数1人

No.1 8点 Tetchy
(2013/01/12 23:07登録)
マレルといえば数々のアクション、スパイ物が有名で、その派手派手しい演出はあざといまでに映像化を狙ったような作品が多いが、短編では趣を変えた奇妙な味と云える不思議な味わいを持った作品が多い。

さて収録された物語は歴史物、ホラーにSFとヴァラエティに富んでいるが、共通するのは自失と狂気の物語だろうか。しかもライナーノーツのように全編の冒頭にマレル自身による作品に関する説明が施されており、そのどれもが実際に彼の身の回りで見聞きし、経験したことがその作品のアイデアに繋がっているという中身となっている。

ここに書かれた作品に登場する不屈の精神を持つ主人公たちはその執着心の強さゆえにどこか壊れた印象を受ける。
アクション物の長編では短い章立てでテンポよく物語を展開する作品であるが、短編ではじっくり書き込んで読み応えを促す真逆の作風であるのが特徴的だ。そして長編のイメージを持っていた私はマレルがこれほどヴァラエティに富んだアイデアを持ち、濃密な話を書けるとは思えなかった。恐らく誰もが思うようにマレルは長編よりも短編の方が面白い。

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