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ミステリの祭典

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死の盗聴

作家 エド・レイシイ
出版日1985年06月
平均点6.00点
書評数1人

No.1 6点
(2012/12/09 08:31登録)
本書の巻末解説は小鷹信光氏による私立探偵小説論になっています。私立探偵であってもホームズ等を除外するところから始まり、private eye novel という呼称を最初に用いたのがロス・マクであること、エド・レイシイの先駆性等について書かれていて、興味深い内容です。
レイシイはシリーズ探偵を持たず、本作に登場する私立探偵ビル・ウォレスもこの1作だけの探偵だそうですが、確かにこれは続編が考えられません。ウォレスはマイク・ハマーみたいなタフな探偵だったのが、心臓病を患って家で主夫をしている(結婚して娘が1人)という設定で、挫折を味わった男の再生の物語です。小鷹氏の言葉によれば「私小説風主人公」を描いた小説であって、事件そのものはたいしたことはありません。犯人は疑心暗鬼から余計なことをして自滅するという、あっけなさですが、主人公の再生という点から見れば、うまくまとまっています。

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