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ミステリの祭典

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都市伝説セピア

作家 朱川湊人
出版日2003年09月
平均点7.00点
書評数1人

No.1 7点 メルカトル
(2012/12/08 20:32登録)
再読です。
口裂け女に代表される都市伝説や、見世物小屋、夕闇の公園など背筋が少々寒くなるような要素を取り込んだ、ノスタルジックなホラー短編集。
5篇のうち、『アイスマン』『昨日公園』『月の石』が特にお気に入り。
『花まんま』で直木賞を受賞した朱川氏だが、その原点はやはりこの作品集に集約されている気がする。
その後も私は氏の作品を追いかけているが、そのスタイルは今でも変わっておらず、終始一貫して、地味ではあるが、ノスタルジックで、随所に涙を誘うシーンを差し挟んでいる。
ホラーはホラーでも、どちらかと言うと、文芸に近い作風であり、一般読者にお勧めである。
あっと驚くようなオチやとんでもない捻りはないし、どこかで読んだことがあるような物語もあるが、じんわりと心に染み込んでくるような感覚は、他の作家ではあまり味わえない氏ならではの持ち味ではないだろうか。

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