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ミステリの祭典

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課長補佐殺人事件

作家 斎藤栄
出版日1979年07月
平均点5.00点
書評数1人

No.1 5点
(2012/11/05 20:09登録)
新薬許可をめぐる薬品会社と厚生省官僚との間の収賄事件を扱うという、斎藤栄にしては意外なほど社会派的要素の強い作品です。汚職事件が背景にあるので、犯人の目星は最初からついています。
だからといってトリックの方がおろそかになっているわけでもありません。第2の殺人での密室の方はすぐに解明されてしまいますが、それでも現実性はともかく根本的なアイディアはそんなに悪くないと思います。しかし中心となるのは何と言っても第1の殺人におけるアリバイ崩しです。考えてみれば無駄に複雑なことをしているような気もしますが、手順はかなり凝っています。
ただし、プロローグには疑問を感じました。読了後読み返してみたのですが、叙述トリックと考えるにはあまり効果が出ていないし、無理な記述があるのです。また、被害者の妻による手がかり発見に大きな偶然を2回も使っているのは減点対象。

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