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ミステリの祭典

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総理大臣秘書

作家 佐賀潜
出版日1967年01月
平均点5.00点
書評数1人

No.1 5点 nukkam
(2012/10/16 11:54登録)
(ネタバレなしです) 弁護士だった佐賀潜(1909-1970)は作家デビューしたのが1960年のため作家人生は晩年のわずか10年のみですが、社会派全盛期の時代の潮流に乗って政界、財界、産業界の影の部分を描いた作品を次々に発表し、「商法入門」(1967年)を始めとする法律入門書も好評、テレビ出演も果たすなどその10年は非常に充実したものでした。1967年発表の本書は1966年から1967年にかけて松本清張が責任編集した「新本格推理小説全集」10冊の一つですが...。確かに最終章では犯人当ての推理が披露され、謎解き伏線も紹介されています。しかし本格派推理小説らしさを感じさせたのはここだけで、他の章では政治と金、それをめぐる人間のどろどろした面と、その中で自分の主張を曲げずに奮闘する主人公の対比描写で占められており、典型的な社会派推理小説だと思います。これはこれでよくできていると思うのですが(苦味を含んだ結末が印象的です)、本格のレッテルを無理につけない方がよかったのでは。

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