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ミステリの祭典

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落下する花
月読シリーズ

作家 太田忠司
出版日2007年03月
平均点5.00点
書評数1人

No.1 5点 メルカトル
(2020/11/27 22:44登録)
月読―それは、人が亡くなると現れる“月導”に込められた死者の最期の思いを読み取る特殊能力者だ。投身自殺した女子大生の月導に残されていた殺人の告白。それは若者たちの錯綜する思いが招いた悲劇だった―。表題作など4篇収録。月読・朔夜一心が活躍する傑作ファンタジック・ミステリー。
『BOOK』データベースより。

太田忠司はどれも突き抜けたものがないと言うか、低刺激というか、とにかくインパクトに欠ける印象が強いのですが、本作もそれは同様で、読んだ先から内容を忘れていくような作品でした。パラレルワールドでは人間界に於いて、人が亡くなった時に必ず「月導」が例えば溶けない氷とか大人用の箸と子供用の箸が捻じれたものとか言った具合に、様々な形で現れ、その意味合いを読む「月読」によって、その人の最期の想いを知ることが出来るという設定。この風変わりなSF的発想により、月読である朔夜が探偵役を務めますが、それは事故であったり自殺であったり殺人であったり様々な事件です。

シリーズ第一作も購入済みですが、この調子ではあまり期待できないかも知れませんね。どの短編ももう一捻りあるともっと面白い作品に様変わりしたのではないかと思うと、少々残念ではあります。人間も描けていないので、探偵役と言えども決して好ましい個性を有しているとは言い難く、ちょっとがっかりです。ただ、特異な設定のおかげで朔夜が難なく事件に関与できるので、その辺りは上手くクリア出来ていますね。

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