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ミステリの祭典

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汎虚学研究会

作家 竹本健治
出版日2012年09月
平均点5.00点
書評数1人

No.1 5点 メルカトル
(2019/09/02 22:16登録)
聖ミレイユ学園で相次ぐ惨劇―ウォーレン神父は校庭で落雷に遭い焼死し、ベルイマン神父は密室と化した温室で、自然発火としか思えない焼死体で発見された。理解不能な怪事件に挑むのは「汎虚学研究会」の部員たち。だが部長だけは度々見る「狂った赤い馬」の悪夢に悩まされ、推理どころではなく…。少し浮世離れした少年少女たちが解き明かす凶々しき真相とは?
『BOOK』データベースより。

ミステリーランド叢書の一冊、『闇の中の赤い馬』に4短編をプラスした新書版、汎虚学研究会のメンバーが活躍する連作中短編集。
まあ出来としては可もなく不可もなくと言ったところでしょうか。『闇の中の赤い馬』は密室物で正直バカミスの部類に入るのではないかと思います。大掛かりなトリックにはかなり無理があり、動機としても弱いと言わざるを得ません。しかし、話の端々に蘊蓄や衒学趣味が見られ、いかにも竹本らしい印象は受けます。今ではもう懐かしさすら覚えるような、不思議な感覚に陥ったりして。久しぶりの竹本作品でしたので、やや厳し目に点数は付けました。

短編はそれぞれカラーが違いますが、幻想味やホラー、何が言いたいのかちょっと分からないようなオチのない作品やら色々です。中でも進化論に関する理論は私自身疑問に思っていたことであり、その意味でやや腑に落ちたところもありました。そこは興味深く読めましたが、全体としてまあまあとしか言いようがありません。

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